就学相談で支援級を進められた場合、グレーゾーンのお子さんを持つ保護者にとって非常に悩ましい問題ですよね。

支援級を勧められたけど普通級でも大丈夫じゃない?



普通級に行かせてあげたいけど、もし難しい状況になったらどうしよう…
普通級にするのか、支援級にするのか、どちらが我が子にとっていい選択か悩む保護者は少なくありません。
グレーゾーンの子どもは環境次第で普通級で伸びるケースもあれば、負担が大きく難しいケースもあります。
この記事では、普通級を選んだ結果「難しさに直面しやすいパターン」と、逆に「成長につながるよかったパターン」を分かりやすくご紹介します。
また、就学相談で支援級を勧められる理由や判断基準、保護者が知っておきたいポイントもまとめています。
- 普通級に行って難しかったパターンを紹介
- 普通級に行ってよかったパターンを紹介
- 就学相談で支援級を勧められる理由
- 就学相談の判定基準について


支援級を勧められたけど普通級に行くと「難しかったパターン」
支援級を勧められたけれど普通級に行った場合、子どもの特性によっては学校生活とのミスマッチが起こりやすくなります。
- 一斉指示が苦手
- 集団行動への適応が難しい
- 感覚過敏がある
- 学習の理解がゆっくり
- 対人関係
グレーゾーンの子どもは得意・不得意の差が大きいため、環境が合わないと困りごとが増えやすく結果的に疲れやストレスが蓄積してしまいます。



大人だって自分に合わない職場にいるのはストレス溜まるよね。
ここでは、普通級で難しさが生じやすいパターンを紹介します。
普通級が難しい①:一斉指示が通りにくく、行動やペースがズレやすい
グレーゾーンの子どもは耳からの情報処理が苦手だったり、注意の切り替えに時間がかかったりすることがあります。
そのため、普通級の一斉指示に合わせるのが難しく行動が遅れてしまったり、理解が追いつかないまま次の活動に移ってしまうケースが見られます。



特に視覚優位な子は、口頭指示の理解が難しいよ
結果として周囲とのペースが合わず「落ち着きがない」「指示が通らない」と評価されてしまうことがあります。
普通級が難しい②:学習のつまずきが大きく授業についていけない
普通級の授業はクラス全体の進度で進むため、基礎が定着しにくいタイプの子どもは学習の遅れが大きくなりやすい傾向があります。
つまずいた部分を授業内で個別にフォローすることは難しく、宿題や家庭学習で補う必要が増えます。
そのため、子どもも保護者も負担を感じやすいです。
学習に自信を失うと、学校自体がしんどくなるケースもあります。
普通級が難しい③:感覚過敏・不安の強さで教室環境が負担になる
グレーゾーンの子どもの中には音・光・においなどの刺激に敏感なタイプがいます。



いわゆる感覚過敏のことだね
普通級は人数が多く、チャイム音や話し声など刺激が多いため、聴覚過敏がある子にとっては教室にいるだけで疲れてしまいます。
また、不安が強い子は急な予定変更やにぎやかな場面が苦手で、情緒が不安定になり登校しぶりにつながったりすることがあります。
普通級が難しい④:友だちトラブル・対人面のズレが増える
グレーゾーンの子どもの中には、コミュニケーションの微妙なニュアンスが読み取りにくい子がいます。
特に普通級は支援級よりも人間関係の密度が高く、誤解やトラブルが起きやすい傾向があります。



悪気がなくても言葉がストレート過ぎたりね。
遊びのルールを理解しにくいことも多く「変わった子」と捉えられてしまうことも。
結果として孤立感が強まり、学校生活への不安が増すケースも少なくありません。
普通級が難しい⑤:先生が十分に支援できない
普通級担任は一人の先生が30名前後の生徒を見るため、個別に丁寧な支援をするには時間的な限界があります。
特に行動面のフォローや学習のつまずきへの対応は、支援が必要な子ども程こまめな調整が求められますが、現実的には対応しきれないことも。
先生の努力があっても、構造的に支援を十分に届けるのが難しく「支援級ならもっとサポートしやすい!」という理由で勧められることもあります。
支援級を勧められたけど普通級に行って「よかったパターン」
一方で、支援級を勧められても普通級が合うケースも確実に存在します。
子どもの特性によっては、普通級の刺激・集団のペース・多様な関わりがプラスに働き成長につながることがあります。
特に「模倣が得意」「刺激が集中につながる」「興味関心が強い」タイプは、普通級での学びがうまく作用します。
また学校の支援体制が整っている場合も適応がスムーズです。
ここでは、普通級を選んでよかったパターンを紹介します。
普通級でよかった①:刺激の多い環境で伸びるタイプ
グレーゾーンの子どもは、注意の切り替えや聴覚情報の処理がゆっくりな傾向があります。
そのため普通級に多い「一斉指示」に合わせにくく、活動の遅れや行動のズレが起こりやすいです。



このペースのミスマッチが支援級を勧められる理由の1つでもあるよ。
しかし、逆に周囲の動きや活気が良い刺激になり、普通級のほうが集中しやすいタイプもいます。
模倣することが得意で、自然と集団ルールを理解できるケースもあります。
支援級より普通級のほうが成長したという例は実際に多く、「支援級を勧められたけど普通級で正解だった」と感じる保護者もいます。
普通級でよかった②:一斉指示が理解できる・ルールを守れる
一斉指示が概ね理解できて学校生活に必要なルールを守れる場合、普通級でも大きな困りごとを抱えにくい傾向があります。
多少の抜けやすさがあっても、周囲を見て行動を合わせられれば、集団行動にスムーズに馴染めることが期待できます。
これは、就学相談で迷う際の大きな判断ポイントになります。
普通級でよかった③:学習の遅れが小さく興味関心でカバーできる
一部の科目に苦手があっても、興味のある分野で理解が進みやすい子は、普通級でも無理なく授業に参加しやすい傾向があります。
また、基礎学力がある程度整っている場合は、普通級の進度に無理なくついていけるケースも多く、支援級でなくても困りにくいタイプといえます。
普通級では授業スピードが早く個別フォローが限られているため、理解に時間が必要なタイプは学習の遅れが蓄積しやすです。
これによって「支援級を勧められたけど普通級にしたらついていけなかった」というケースが起こりやすい部分です。



特に文章題・読解・板書など、処理が複雑な場面で差が出やすいよ!
普通級でよかった④:学校が柔軟に支援してくれる
普通級を選んだ家庭の中には、学校が積極的に支援を提供してくれたためスムーズに適応できた例もあります。
- 席の配慮
- 学習教材・プリントの調整
- 環境調整
- 個別指導員の配置 ※クラス全体に教科サポーターが付く学校もあります
学校側の理解と協力が整っていると、グレーゾーンの子どもでも負担が大きく減ります。
「普通級を選んだけれど学校の支援が手厚かった」という成功例は多く、環境次第で適応は大きく変わります。
普通級でよかった⑤:クラスメイトとの関わりが成長につながる
同年代の子どもたちと毎日過ごすことで、対人スキルの成長を促されるケースもあります。
友達の行動を見て学ぶ力が強い子は、普通級の方が社会的スキルが育ちやすいと言われています。
特性があっても、適切な距離感で関われる環境先生のサポートがあれば、集団の中で「できること」が増えます。
そういった経験を積むことで自信を持てるようになり、大きな成長につながります。
支援級を勧められる理由とは?判断基準と見られているポイント
就学相談で支援級を勧められる背景には、明確な判断基準があります。
発達検査の結果だけでなく、日常の行動や集団場面での様子、学習のつまずきやすさ、感覚特性、学校側が用意できる支援体制など、多角的に子どもの特性が評価されます。
「支援級=能力が低い」ということではなく、あくまでその子が安心して学べる環境かどうかが基準です。
就学相談で重視される主なポイントは以下の5つです。
- 発達検査・行動面のチェック
- 一斉指示理解・集団行動への適応
- 学習の遅れ予測とサポートの必要性
- 感覚特性・環境刺激への耐性
- 学校側が確保できる支援体制とのマッチング
①発達検査・行動面のチェック
就学相談では、発達検査(WISC や田中ビネーなど)の結果や行動観察をもとに、認知特性や困りごとの傾向を確認します。
単に数値を見るのではなく、記憶・言語理解・処理速度などのバランスや、集団場面での行動の安定性が重要視されます。
検査で特性が明確な場合は、支援級を勧められることが多くなります。
また、発達検査結果だけでなく、行動観察や日常の様子を総合的に見て判断されます。
認知の偏りや処理速度の弱さがある場合は、普通級より支援級が適していると判断されることがあります。
②一斉指示理解・集団行動への適応
学校生活では「普通級の集団行動についていけるか」が最重要ポイントと言っても過言ではありません。
一斉行動や指示の理解が難しいと、子ども自身だけでなくクラス全体の運営にも影響するため、支援級を提案されるケースがあります。
特に注意のコントロールや切り替えが苦手なタイプは、集団行動で負荷が大きくなりやすいと判断されます。
そのため、指示理解や切り替えが難しいタイプは支援級をすすめられる傾向があります。
③学習の遅れ予測とサポートの必要性
小学校の授業ペースに合わせられるかどうかは、大きな判断材料です。
基礎的な学習が苦手、言語理解が弱い、ワーキングメモリが低いなどの場合、普通級では遅れが蓄積しやすいため、支援級を勧められる場合があります。
必要な支援がどの程度か、家庭でのフォローが継続できるかも見られます。
学習ペースの遅れが予想される場合、普通級ではフォローしきれず苦しくなる可能性があります。
就学相談では「どれだけ個別支援が必要か」を重視されています。
④感覚特性・環境刺激への耐性
感覚過敏や不安の強さがある場合、人数の多い普通級は大きな負担になります。
刺激が多くて落ち着けないタイプの子どもは、静かな環境で学べる支援級が適していると判断されることがあります。
騒音・刺激への過敏さ、不安の強さなどがある子は、静かな環境のほうが安定しやすいため支援級が提案されることがあります。
⑤学校側が確保できる支援体制とのマッチング
学校によって支援体制は大きく異なります。
加配の有無、支援担当の人数、支援教材の準備状況などを踏まえ、その子に必要な支援を提供できる環境かどうかが判断されます。
環境と子どもの特性が合わない場合は、支援級が提案されるケースがあります。



学校によっては情緒級がないところも意外と多いよ。
「その学校で必要な支援が実現できるか」を基準に、普通級か支援級かが判断されます。
まとめ|支援級勧められたけど普通級に行って「よかった」「難しかった」は子どもと環境の相性で決まる
普通級を望んでいた保護者にとって「支援級判定」はとても悩まされるものかと思います。(←経験談より)
保護者の希望を通していいのか、支援級を選択したらその後の進路はどうなる?など、不安が多くなかなか決めきれないものですよね。
支援級か普通級かで迷った時、大切なのは子どもの特性と学校環境の相性を冷静に見ることです。



特に「どのような場面で困りやすいか」逆に「どの環境なら落ち着いて過ごせるか」を考えてみるといいですよ。
そして、現時点で子どもが最も安心して学べる環境(普通級・支援級)を選ぶことを考えてみてください。



1日の大半を過ごす環境だから、安心できるところがいいよね。
就学相談での判断で子どもの将来が決まるのでは…と心配になる方もいるかと思いますが、途中で学級変更するという柔軟な選択肢もあります。
なので、まずは現時点でどちらの学級の方が子どもに合っていてのびのび安心して過ごせる環境なのかを考えて決定されることをおすすめします。


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